近年のトレンドは越境ec?それともインバウンド?


外国人観光客による日本旅行をインバウンドと呼びますが、このインバウンドは年々増加傾向にあります。また、中国人観光客の「爆買い」に代表されるように、一部観光客の中には日本製品を買うこと自体を目的として旅行に来ている人もいるぐらいです。
これに目を付けた新しい商取引の方法が越境ecと言われる方法で、近年取引額が急激に伸びています。
どのような理由で越境ecの取引額が伸びているのでしょうか?まとめてみましたので、一緒に考えてみましょう。

 

越境ecが急激に伸びている理由とは

平成26年に発表された経済産業省の報告書によると、越境ecを利用して日本国内の業者から購入した金額は、中国が6,064億円で前年対比55.4%増、アメリカが4,868億円で前年対比12.6%増です。この数字だけを見ても中国による取引額が急増しているのが分かるのではないでしょうか。
越境ecとは、その名の通り「越境=国境を越える」、「ec=電子商取引」ということで、インターネットを活用して自国以外で商取引を行うことです。日本で越境ecを利用した販売をしている代表的な例が、アメリカの会社である「Amazon」ではないでしょうか。自国だけで商品を販売するよりも、Amazonのように世界を相手に商売をした方が、当然市場は大きくなるため、売上金額も大きくなる可能性があります。

もちろん、大きな市場を相手に商売をするリスクも存在しますが、日本国内で今進んでいる少子高齢化といった現実を考慮すると、今後、日本の市場だけを相手に商売をしても限界があるのではないでしょうか。
また、先ほど述べたように経済成長を続けている中国や東南アジアなどの諸外国には、日本ブランドというものは人気があるため、日本国内だけで商品を販売するよりもビジネスチャンスがあるといった理由で、多くの企業が注目しており、取引金額が急増しているのです。

 

訪日外国人の商品購入までの流れとは

また、越境ecを利用する人が急増していることには、訪日外国人が日本製品をたくさん購入していることも関係があります。訪日外国人の中には、日本へ観光をするだけではなく、日本製品を購入することを目的としている人もいるのです。そのような人は、元々日本製品に対する関心が高く、購入後にその商品が気に入った場合、再度来日して購入することもあるでしょう。

しかし、自国に居ながらにして、その商品を訪日時と同じ価格で手に入れることができたらどうでしょう?その商品を自国でも買うと思いませんか?そのような時に便利なのが、越境ecです。
先ほど特に中国による越境ecの利用が急増していると述べました。これはもちろん、越境ecを利用した販売をする店舗が増えたこともその要因の一つですが、中国人観光客による「爆買い」からの流れで自国に戻っても日本製品を購入したいという人が増えていることでもあります。
中国の人口は約13億人もいると言われており、日本の約10倍です。そのうち、インターネットを活用しているのは中国では約半分の6億5000万人と言われています。これはあくまで中国を対象にした場合の数字ですので、英語圏もターゲットに含めればもっと可能性は大きくなります。越境ecには大きなチャンスが眠っていると言えるのではないでしょうか。

 

中でも人気な商品ジャンルとは

越境ecには大きなビジネスチャンスがありますが、対象とする国や地域の情報をしっかりと把握しておくことは当然必要です。どのような国にどのようなジャンルの商品が人気なのでしょうか。
観光庁が発表している「平成27年版観光白書」の中に、中国や韓国などのアジアやアメリカから日本国内へ旅行にくる観光客がどのような商品を購入しているか、といったデータがあります。それを見ると、中国人観光客はどの項目も高いのですが、他の国と比べて特に高いものは化粧品、電気製品、カメラや時計です。
特に電気製品は36.7%と2位のベトナムの24.2%を大きく引き離しています。そこには日本製品に対する信頼が根底にあり、日本製品は「メイドインジャパン」として、現在でもそのブランド力は健在のようです。

アジア諸国全体に人気があるのは、菓子類や食料品、タバコといった商品で、数百円で買えるものが多いなど、比較的購入しやすいということもあり人気があるようです。お菓子の中では抹茶味などの、日本独自のお菓子などが人気を集めています。
また、化粧品や香水、医薬品といった商品もアジアでは人気があり、中でも「資生堂」や「コーセー」などは元々海外進出をしているため、知名度が高く人気です。

 

まとめ

このように、越境ecが取引額を急増している理由として、日本を訪れる観光客、つまりインバウンドが増えているということがあります。インバウンドが増えれば増えるほど、日本製品に触れる機会が増えるため、越境ecを利用した取引も増えているのです。

ただし、越境ecが普及してくるということは、インバウンドによる消費が減少する可能性があるということも考慮しておかなくてはなりません。越境ecが普及すると、自国でいつでも日本製の商品が購入できるようになるため、いつまでも中国人観光客などが「爆買い」をして、商品を購入してくれるとは限らないのです。そのような事態になってから慌てるのでは遅いので、そうならないように越境ecについて今のうちに勉強してみてはいかがでしょうか。


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