越境ecの事例4選


少子化がすすみ日本国内市場の縮小が予想される中、日本国外の市場を開拓する「越境ec」に乗り出す企業が増えています。
越境ecでは、販売地域を拡大し、新規顧客を獲得できることが大きなメリットですが、外国語への翻訳や物流、決済方法、対象地域の法の知識など、販売先の国に合わせた対応が必要で、数多くの課題も予想されます。

ここでは、実際に海外展開している4つの事例から、越境ecを成功に導くための方法や課題などを学んでいきます。

 

事例から学ぶ越境ecの正攻法1

「オタクモード・ドットコム」は、外国人向けに日本のアニメやゲームのキャラクターグッズなどを越境ecで販売し、海外ユーザーによる売り上げを伸ばしている成功事例の一つです。

このecサイトの特徴は、フェイスブックページ(FB)を活用して日本のポップカルチャーを発信しているところです。日本のオタクグッズやポップカルチャーの愛好家たちをecサイトへと呼び込み、販売につなげています。FBページでは1700万人もの「いいね!」を獲得し、その99%以上が外国人で若い層が中心となっています。
このサイトでヒットした商品の一つに寿司の形をした靴下「スシ・ソックス」があります。見た目のユニークさが世界各国のメディアやブロガーの目に留まり、雑誌やwebサイト、テレビなどで紹介されました。その結果、口コミで広がり、どんどん売れていったのです。スイスの食品会社が顧客にクリスマスギフトとして贈りたいと、大口の注文が入ったこともあったとのことです。

運営会社のトーキョーオタクモードは、日本のオタク文化の愛好者が世界中にいるのに、海外対応しておらず、商品を買いやすい場所がなかったことに目を付け、海外のユーザーが気軽に購入できる場としてecサイトをオープンさせました。100円から60万円の単価、2万点程度の幅広い商品を扱っており、購入先は米国、カナダ、オーストラリア、フランスなど欧米圏が多くなっています。

参照URL:https://netshop.impress.co.jp/node/1548

 

事例から学ぶ越境ecの正攻法2

山ト小笠原商店が運営する「北海道お土産探検隊」は、「六花亭」や「白い恋人」など北海道のお土産を越境ecで販売し、売り上げを伸ばしています。
「楽天市場」では、2015年4~6月期の越境ecの流通額が前年同期比で55%増となっています。また、2014年には「楽天市場ショップ・オブ・ザ・イヤー」の海外販売大賞を受賞しています。丁寧かつ迅速な対応や品ぞろえの多さなどが高い評価をよび受賞につながりました。

このサイトは、3人の中国人スタッフが中国語、英語、日本語できめの細かい対応を行っているのが特徴です。北海道のメーカーが製造した高品質の菓子300種類以上をそろえ、スタッフによる迅速な受注対応や海外ユーザーにとって分かりやすいページの作成など、訪問客の利便性を高めていることが売り上げの増加につながっています。
顧客の7割は中国で、それ以外は米国、台湾、香港の順です。高品質の北海道産の菓子類は海外でも人気があり、越境ecでのニーズも高いとされています。山ト小笠原商店の小笠原社長は「北海道のものを世界一売る店にしたい」との意気込みでサイト運営にあたっていますが、越境ecを活用すれば、地方都市にある会社でも世界に打って出ることのできる成功事例といえます。

参照URL:https://netshop.impress.co.jp/node/2076

事例から学ぶ越境ecの正攻法3

年間43万人もの観光客が来店する東京都内のディスカウントストア「多慶屋」も、帰国後のリピート購入につなげる取り組みが功を奏している成功事例です。
実店舗を訪れる客のほとんどは中国人で、ほかにはタイ人や台湾人などアジア圏の人が多くなっています。そこで多慶屋は、海外向け転送サービスを行う『バイイー』と連携し、越境ecサイトを開設しました。
一方、店舗では外国人客が免税手続きをする際にチラシを渡します。チラシには、英語と中国語で、自分の国でも商品を購入することができることが記載され、ecサイトのURLとQRコードも記されています。

このように多慶屋の実際の店舗で商品を購入した訪日外国人が、帰国後も引き続き購入するための入り口を作りました。 また、多慶屋は『爆買い』という言葉が使われるようになる前から、増加傾向の中国人観光客向けに、2008年に銀聯カードの決済を開始。さらに、2015年には中国のアリババグループによる『アリペイ』を日本の小売業で最初に取り入れています。クレジットカードを持たない中国人向けの決済サービスを充実させたことも店やサイトの強みとなっています。

参照URL:https://netshop.impress.co.jp/node/1548 http://gokuraku.co.jp/blog/2016/03/post-87.php

事例から学ぶ越境ecの注意点

ケンコーコムは、中国最大のインターネットショッピングモール『ティーモルグローバル』に『kenko海外旗艦店』を出店し、中国向け越境ecを展開しています。取扱商品は700から800品目で、30代から40代の女性を主要客層とし、順調に運営を進めています。

商品の販売傾向としては、紙おむつなど一部の商品に人気が集中し、全体の1割程度の商品で売り上げの半分ほどを占めるかたちとなっています。日本だと、アイテム数を幅広くそろえて顧客が買いに来るのを待つスタイルが一般的ですが、中国では、広告やメールの配信など、積極的に働きかけないと売りづらいとされます。そのため、アイテム数はそれほど増やさず、売れ筋の商品を中心にそろえることがポイントになります。

また、中国市場での他の注意点として、インターネットショッピングモールで越境ecサイトが急増し、価格競争が進みつつあることです。訪日中国人観光客がハンドキャリーでかなりの量の化粧品やサプリメントなどを中国国内EC向けに流していることと、物流のコストコントロールができなければなかなか利益がでないことなどが挙げられます。 以上は、中国市場での越境ecについてですが、国によってさまざまな注意点があり、失敗しないためにも、実際の事例などを事前によく調査することが必要です。

参照URL:https://netshop.impress.co.jp/node/1548

 

まとめ

越境ecの成功事例では、オタクグッズやポップカルチャー、高品質の菓子といった外国人に人気のある商品を扱うことや、丁寧で迅速、きめの細かさなど日本ならではのサービスを提供することがポイントとなっています。

また、実店舗の客への帰国後のアプローチ、フェイスブックなどSNSを活用したecサイトへの誘導など、工夫を凝らしたアプローチ方法が功を奏している例も多数あります。 販売先の国によっても対応が変わってきますが、越境ecを始めるにあたっては、このようにさまざまな成功事例や注意点を学ぶことによって、きっと有益な情報を得ることができるでしょう。

 


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